【歯科衛生士と食育】第9回 離乳食 後期〜完了期

伝えられる知識の幅が広がる: 歯科衛生士と食育

急に夏がやってきましたね!今年はマスクの影響でさらに暑く感じます。
こまめに水分補給をして、熱中症にお気をつけください!

 


 

前回は離乳食の初期と中期についてお伝えしました。

今回のブログでは続けて後期、完了期とお口の変化を見ていきます。


後期に入るとだんだんと歯が生え揃ってきてお口に大きく変化が出てきます!

 

食べる力のトレーニング“カミカミ期”

 

「歯茎食べ期」とも言われるこの時期には上下の前歯が生えてきます。

 

前歯が上下4本ずつ生え始めると、上顎が広がり、口の中の容積も大きくなります。

唇や舌の動きも発達し、舌は左右に動かせるようになります。

 

 

指先で物を掴めるようになるので、“手づかみ食べ”や“遊び食べ”が盛んになり、保護者にとっては大変な時期に入ります。

 

ですが自分から食べようとする意欲は、重要な自律行動の第一歩

机の下に新聞をひく、お皿は動かないものにするなど工夫して、食べる経験を重ねるよう勧めましょう。

 

座る姿勢の復習です!

  1. 足の裏は足置きや床にぴったりつける
  2. イスはテーブルに手が届き体がやや前傾する姿勢を取れる位置に置く

 

 

 

左右どちらかの歯ぐきですり潰すような口の動きが見られたら「歯茎食べ期」の始まりです。

この時期の食べ物の固さは歯ぐきで潰せる程度、熟れたバナナくらいの固さが目安です。

 

歯ぐきで噛んですり潰すには挟める厚みが必要です。

上下の歯ぐきの隙間は5㎜なので、それより小さいと上手に食べられません。

また、繊維の強いものはすり潰すことができずに丸呑みの原因になるので避けましょう。

薄っぺらい葉物野菜は柔らかく茹でてあれば食べられます。

 

この時期には舌で食べ物を左右の歯茎に運ぶ動きが可能になるので、噛んでいる側の口角が引かれ、舌と頬を使って食べ物を支えながら潰すという動作が見られます。

 

偏側に交互に伸縮
上下唇がねじれながら協調する
咀嚼側の口唇が縮む

 

舌の左右運動
咀嚼運動

 

1日の食事は3回になり、1日に必要な栄養量の半分を離乳食で取るようになります。

 

まだ母乳を制限する必要はありませんが、授乳間隔が短かいと食事の時間に空腹でないため離乳食を食べなくなってしまうので授乳間隔には注意が必要です。

授乳は離乳食の後とし、3~4時間空けるようにしましょう。

 

柔らかい物を前歯でかじり取らせ、一口量を習得していきます。

 

唇の力もかなりついてくるので、スプーンはある程度深さのあるものの方が食べやすくなります。

口幅の2/3くらいの大きさのものを選びましょう。

 

 

食べる力のトレーニング!完了期“パクパク期”

 

手づかみ食べが盛んになるこの時期には上下の前歯が生え揃い、奥歯が生え始めます。

上下の奥歯が一本ずつ生えると、今まで歯茎では潰せなかったものも食べられるようになり、いよいよ本格的な咀嚼の練習をする時期に入ります。

 

 

とはいえ、奥歯での噛む練習は始まったばかりで噛む力はまだ弱く、第一乳臼歯の噛む面は小さいため噛みつぶすことはできてもすり潰すことはまだ出来ません。

 

大人と同じ食事が出来るにはまだ早いのです。

この頃の離乳食の形態は、歯茎で噛みつぶせる固さで、手づかみしやすく、前歯で嚙み切れるような形と固さにします。おでんのジャガイモや大根などの固さが目安です。

繊維や弾力があるもの、薄っぺらいレタスなどの生野菜は噛むのが難しいので避けましょう。

 

手掴み食べの時期は、好きなもの・食べたいものがハッキリしてくる時期でもあります。

 

例えば、野菜など水分のあるものやおにぎりのように手にくっつくものは苦手だけど、パンなら食べる!

という子には、パンに少しアレンジを加えてミルクを数滴垂らしてみたり、フレンチトーストにしてみる。

 

そもそも自分で食べてくれない!

という子の場合、親御さんが離乳食を食べさせてあげる時にテーブルや手、口の周りをキレイに拭いていませんか?

その習慣を見ている子どもは”汚してはいけない”と感じ取って、食べさせてもらうことを好む傾向にあるようです。

 

そんな時は、子どもの前にご飯を出したらあえて少し離れてみる。

子どもの視界に入らない位置からそっと見守っていると、自分で食べ始めることもあります。

ただ、まだまだ上手く噛めずに丸呑みしている場合もあるので決して目は離さないようにしてください。

 

個人差はありますが、コップにも興味を示すようになると少しずつ練習を始めましょう。

コップに口をつけて飲むことは難しく、始めのうちはこぼしてしまいますが、コップで飲む動作は唇、舌、顎の筋肉のコントロール力を養うための大切なステップです。

この時期に便利なストローマグやスパウトマグを使うと、簡単に喉の奥へと飲み物が運ばれてしまうため乳児嚥下が残存し、舌突出癖の一因となる可能性があるためおすすめ出来ません。

 

 

全てコップを使おうと思うと、大変な場合もあります。

お家ではコップ、外出時はマグなどメリハリをつけて使ってみてはいかがでしょうか♪

 

コップの練習には、お風呂がオススメです!

コップと温めた水をペットボトルに用意し(常温だと体にかかった時に冷たく感じます)、湯船に浸かっている間に飲む練習をします。

こぼれても気にならないので、存分に練習ができます。

お風呂でのコップ飲みが安定すれば、お部屋でもチャレンジしてみましょう。

 

 

食べる力のトレーニング “カチカチ期”

 

いよいよ第二乳臼歯も生え揃い、乳歯列が完成する頃です。

 

 

舌と頬、顎を協調して動かすことができるようになり咀嚼機能も向上します。

ですが、噛み切りにくい葉物野菜や、繊維の強いキノコ類やかたまり肉はまだ難しい場合もあります。

固さの目安は子供自身がスプーンで切れることです。

 

お茶は食べ物を流し込むくせにも繋がってしまうので、食後に出すようにしましょう。

また、汁物は口の中の食べ物がなくなってから飲むように習慣づけます。

 

 

この時期は、「食べ物をいつまでも口の中に溜めている」という相談が多い時期です。

原因は大きく分けて3つ。

 

  1. 食べ方に問題がある
    前歯でのかじり取りの練習がうまく出来ていないと、一口量が分からず口の中に詰め込みすぎてしまいます。大きめの食べ物を用意して、自分で噛み取らせ、一口大を学習させましょう。
  2. 歯や舌に原因がある
    虫歯があったり、噛み合わせが悪かったり、乳臼歯が完全に生えていないことが考えられます。また、舌小帯が短い場合舌がうまく動かせないこともありますので、お口の中をよく観察しましょう。
  3. 生活に問題がある
    間食が多い、ジュースや牛乳の取りすぎ、運動量が少なく空腹感がない、起床時間が遅く生活リズムが不規則になっている、なども原因として考えられます。

    このような場合には食事に対する意欲がなく、遊び食べや偏食も多く見られます。生活リズムを整えるために、「早寝、早起き、1日4回食」の基本を大切にして1日の過ごし方を見直すことが必要です。

    子供の胃の容量は小さく、1日3回の食事だけでは必要なエネルギーや栄養素が取りきれません。

    そのため、時間を決めて食事に影響しない量のおやつを4回目の食事として与えます。

    この食事はエネルギー補給として大事なものですから、甘いものではなく小さなおにぎりやふかしいも、果物などを与えるようにしましょう。

 

食事は楽しく行うことが何より大切です。周りの大人と食卓を囲むことで、子供達は食事の楽しさやマナー、噛むことや箸の使い方にも興味を示します。

楽しく一緒にご飯を食べることで、健やかな成長を見守りましょう!

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