3児の母が自分自身の経験を通じて、衛生士さんが家族や患者さんに伝えられる食育の知識をお届けします。
新型ウイルス大流行に伴い、様々な場所で影響が出ていますね。
1日も早く日常が戻ることを祈るばかりです。
手洗いうがい、感染予防をしっかり行いましょう!
前回のブログではむし歯の成り立ちをおさらいし、食事指導の具体的なお声がけをお伝えしました!
今回のブログは歯の役割と食べ物についてお伝えしていきます!
ある日のこと、未就学児健診とフッ素塗布で小さなお子さんが来院されました。
診療室に入ってくる前から涙目で、チェアに座ることを断固として拒否し、そしてわんわん泣き出してしまいました。
小さなお子さんだとよくある反応ですし、皆さんにとっても日常的なことだと思います。
さて、こんな時あなたならどうしますか?
(子どもちゃんの様子はどうかな?チラっ)あ~まだ泣いてる・・・今日はお口を開けてくれないかも。。
初めての歯医者さんだもん、仕方ないよね。これから少しずつ慣れていこうね。また来てね!ばいば〜い!
泣いているお子さんの対応をしていると、“無理をして歯医者嫌いにさせたくない・・”と思ってしまいます。
以前の私はそうでした。しか〜し、今は違います。「またきてね!」だけではありません!
せっかく歯科医院に来てくれたチャンス!少しでも活かしたいと考えています。
お子さん本人が泣いていても、親御さんから普段の食事内容などお話を聞くことはできます。
何が好きなのか?どのような時間に食べているのか?を知ることができると、前回お伝えしたカイスの輪やステファンカーブを見せて、むし歯に対しての知識をお伝えできます!
そして最近の親御さんは「子供をむし歯にしたくない」と思う方も多いので、「気になることはありませんか?」と聞いてみるのも1つです。
その質問から、歯並びはもちろんですが、食育について、特に食べ物の内容や食べさせ方について聞かれることが多くなりました。
具体的には
そんなお話を交わしていると、だんだんと親御さんの緊張が和らいできます。
歯医者さんは親御さんにとっても緊張する場所かもしれません・・
その緊張がお子さんに伝わり、そこから泣いてしまう子も少なくありません。
こうして親御さんとお話しているうちに、子供さんも落ち着いてきて、ご機嫌がよくなることもあります。
親御さんの質問に答えられるようになるには、知識を増やすことが必要ですね!
では、大切なことを1つ復習しましょう!
お口の中で噛む力が一番強いのは、咬合面が一番大きい第一大臼歯!
まさにお口の大黒柱とも言える大きな第一大臼歯が生えてくるのはおよそ6歳頃ですが、実は生える前からすでにある程度その生え方が予測できるんです!
ターミナルプレーンを思い出してみてください。
これは、上下のEの位置によって将来の噛み合わせを予測するものです。
Eの後ろには第一大臼歯が生えてきますから、Eがどのように生えるかによって将来の顎位はおおよそ決まってくるのです。
よく噛むことで大事な6歳臼歯がまっすぐに生える土台を作り、また奥歯でしっかり噛めるからこそ体が踏ん張れて、運動することができます。
たくさん運動すると自然とお腹が空くので、しっかり食べられるようになることも考えられます。
そして、子どもさんのお話をお伝えするのは親御さんだけではありません。
身近な赤ちゃんや子どもさんのため、前回までにお伝えしていた姿勢のお話やむし歯の原因、食べ方についてなどお話しすると、もっと聞きたい!今度連れてきます!と仰ってくださる方は多くおられます。
食育の知識をさらに増やして、歯だけを診る歯科衛生士から、全身まるっと観察する歯科衛生士になっちゃいましょう!
前歯はかじりとるためのもの、いわば包丁のような役割。
臼歯はすり潰すためのもの、文字通り臼のような役割。
そんなこと知ってるよ~と思ったみなさんがほとんどだと思います。
以前、こんにゃくを原料としたゼリーが喉に詰まり、窒息してしまうというニュースが話題になりました。
高齢者に多いと思われがちだったこの事件、実は乳幼児にも起こっていました。
それだけではなく、実は6歳前後のお子さんにも窒息事故は起きていたんです。
6歳前後といえばちょうど前歯が生え変わる年頃です。
「前歯でかじりとり、奥歯ですり潰す」という動きを獲得できないまま生え変わりを迎えた子供たちが、一口量を決めることができずにゼリーを丸呑みしてしまったのです。
検診で出会う高齢者の方には不安に思って声をかけても、お子さんには特に何も言わない方、多くないでしょうか。
高齢者の方には嚥下障害があるかもしれないから…筋肉も弱ってるかもしれないから…。
重なる要因は確かにあります。
ですが、成人嚥下は生まれてからすぐにできるものではありません。
また、筋肉の動きも生まれてから獲得していく能力です。
実はこの2つの世代の口腔内状態はとても似ているんです。
下の2つの表をみてください。
引用元:https://www.coop-hokuriku.net/3154
引用元:https://www.food.minnanoippo.jp/ctggeneral/k-01/
実はこれ、1つめが離乳食、2つめが高齢者の食事についての資料なのです。
こうして見ると、歯の本数に合わせて噛める・食べられるという口腔機能の発達が段階的に少しずつ変わっていくことがわかります。
人間の体が一足とびには発達しないのと同じで、お口の機能も少しずつ出来上がっていきますし、そうして食べられるものも少しずつ変わっていくのです。
①食べ物の大きさに気をつける
こんにゃくゼリーがそうだったように、お口の中へいっぺんに入るギリギリの量のものは、危険です。
例えば、ゴロゴロと大きな具材が入った煮物や肉団子などは、そのままお口へ運んでしまうと噛み切れずに丸呑みしてしまいます。
事前に小さく切り分けたりお箸でほぐしたり、食材自体を柔らかく煮込んで、口に入れた時に無理なくほぐれる硬さにするなど工夫してみましょう。
②子供用のスプーンでを使って一口量を分かりやすくする
Dが萌出しているお子さんといえばお箸に関心が出てくる年頃ですが、一口量を目で見てわかりやすく、そして取り分ける時にもお子さんが自分自身で分かるようにするには子供用スプーンが便利です。
子供用のスプーンは幅がお子さんの口に無理のない大きさで出来ており、すくう部分も浅く作られているので、ちょうどよい一口量で口に運ぶことが出来ます。
周りの大人やお兄さんお姉さんの真似っこをしたがる年頃でもあるかと思いますが、「これは〇〇ちゃん用の特別なスプーンなんだよ!」などと声をかけて、本人が楽しく使えるようにしてあげて下さいね。
③口を閉じて食べる
昔から、食事の時は静かに、お口を閉じて食べなさいと言われてきたかと思います。
実はこのしつけの言葉、とても理にかなったものなんです。
前歯の部分で食べようとすると、口腔の前部分を使おうとするため動かすためにどうしても口が開きます。
お口を閉じて食べようとすると、口の中で舌が食べ物を左右の歯に運んでくれるので、奥歯でしっかり噛むことができるのです。
さらに、お口を閉じ食事をすることはお口ぽかんの予防にもなります!
お口ぽかんを予防できる=免疫力を高めることができる=全身を守ることができる!!
大げさに聞こえるかも知れませんが、その子の未来を変えるかもしれないくらい大切なこと。歯科衛生士としてぜひ伝えたい内容です♪
お子さんは未来の大人です。小さいうちに正しい習慣を身につけるよう促すことは大人からのプレゼントだと思います。
私たち歯科衛生士の伝えたことが誰かの健康を守っている、そう思うと歯科衛生士って本当に素敵なお仕事ですよね。
次回は、もう少し小さいお子さんに向けた内容です。
初めての食事“離乳食”、お子さんによって歯の生えるタイミングは違うのに、離乳食の進め方は一緒でいいの?という疑問にお答えできるよう、お口の状態に合わせた食形態についてお伝えします!
3児の母が自分自身の経験を通じて、衛生士さんが家族や患者さんに伝えられる食育の知識をお届けします。
歯科衛生士の診療に
役立つ情報を発信!