3児の母が自分自身の経験を通じて、衛生士さんが家族や患者さんに伝えられる食育の知識をお届けします。
緊急事態宣言に伴い、自宅で過ごす時間が増えています。
メリハリをつけながら、できることに取り組む毎日です!
赤ちゃんは成長にともない、母乳や粉ミルクだけでは栄養とエネルギーが足りなくなってきます。
そこで、それを補うために離乳食が始まります。
現在では、1歳前の後期検診で貧血の検査を行なっている小児科もあります。
お母さん自身が貧血で赤ちゃんも貧血状態でいることが増えてきている為です。
早期に対応することで、健やかな成長を促してあげることができます。
もちろん、お母さんにとっても大切な鉄分。
妊娠中~授乳期はより多く摂取することを意識しましょう!
今日は赤ちゃんの初めての食事“離乳食”についてお伝えします。
赤ちゃんがおっぱいを吸うのは吸啜反射による本能的なものですが、「食べる」と言う行動は、
という一連の動作で、何度も繰り返して少しずつ学習していくものです。
では、これまでおっぱいやミルクしか飲んだことのない赤ちゃんに、どうやって「食べる」ことを教えていけばいいのでしょうか?
今回から少しずつ理解していきましょう!
離乳食を始めるタイミングは一体いつ頃からでしょうか?
このタイミングを一番理解しているのは、他でもない赤ちゃん自身です。
などの反応が見られたら、離乳食を欲しがっているサインです。
この頃には前歯あたりの顎堤が硬くなってきて、歯ぐきを使う準備が整ってきています。
離乳食期には5つの段階があり、目安の月齢が決まっていますが赤ちゃんの発達は人それぞれ!
体格や身長と同じように、口腔内の状態も食べる機能の発達具合も一人一人違います。
ですから、目安の月齢だけでなくお口の発達に合わせて離乳食の形態を変えていきましょう。
「口唇食べ期」とも言われるこの時期は、歯が生える少し前の段階。
下顎前歯あたりの顎堤が硬くなってきた頃で、体の発達としては、首がしっかり座って支えていれば座れることが離乳食を始める目安になります。
離乳食を始める前にスプーンを口に入れても舌で押し出すことが少なくなってきているかを確認してみましょう。
赤ちゃんが舌を出してくるのは、舌挺出反射と呼ばれる反射です。
これは乳汁しか口にすることのできない赤ちゃんが、固形物が入ってくることで窒息してしまうのを防ぐために備わっている機能です。
この反射が残った状態で無理に離乳食を始めてしまうと、口にしたものをすぐ吐き出してしまいます。
吐き出すことは赤ちゃんにとっても心地の良いものではありません。
吐き出す経験を何度も繰り返すうちに、離乳食やそれを食べさせるスプーンが口に触れるだけで拒否してしまうようになることもあるので、反射が少なくなってきてから離乳食をスタートするようにしましょう。
まずは10倍がゆなどなめらかにすり潰された状態のものから始めます。
固さの目安はヨーグルトくらい。
舌はおっぱいを飲むための前後運動だけでなく、上下運動もできるようになってきます。
食べ物を唇と舌を使って飲み込む反射の起こる位置まで移動させること、口を閉じてゴックンと飲み込むことを習得させます。
口唇を閉じて飲む
上唇の形は変わらす、下唇が内側に入る
口角はあまり動かない
舌の前後運動
舌の前後運動に顎の連動運動
赤ちゃんの姿勢は少し後ろに傾けたらいよいよ食べてみましょう。
食べさせる時のポイントは決して急かさないこと!
赤ちゃん自身が唇を閉じて飲み込むことを習得させるのがこの時期の目標ですから、口の奥の方までスプーンを差し込んだり、唇が閉じきる前にスプーンを引き抜かないようにしましょう。
まだ離乳食は練習の段階なので、1日のエネルギーは母乳が中心です。
離乳食を与える回数は1日に1回で、離乳を開始して1ヶ月を過ぎた頃から2回食に進めます。
離乳食を始めると赤ちゃんの食べる量に個人差があり、頭を抱えるお母さんもいらっしゃると思います。
離乳食は食べる練習ですが、何よりも“食事って楽しい”を学ぶ場。
せっかく作ったのに、、これくらいの量は食べてほしいのに、、そんな気持ちが顔に出てしまうとお互いに辛くなってしまいます。
赤ちゃんが食べなくなったらその時は終わりにして、お母さん・お父さんが美味しそうにご飯を食べているところを見せてあげましょう!
「舌食べ期」と言われるこの時期は、下の前歯が生え始めてくる頃です。
下の前歯が2本生えることにより、舌を前に出さないよう柵の役目を担ってくれます。
これにより、舌は前後運動と上下運動が上手にできるようになります。
舌の上下運動
数回モグモグして舌で押しつぶし咀嚼する
さらに、舌先を使って食べ物を取り込み、上顎を使って潰したり、舌で食べ物をひとまとめにして飲み込むことができるようになります。
唇が左右同時に伸縮し飲み込む
上下唇がしっかり閉じて薄くみえる
左右の口角が同時に伸縮する
舌で潰せる固さとは、親指と人差し指で軽く力を入れたら潰れる状態のこと。
豆腐やプリンの固さが目安です。
固いままだと潰すことが出来ずに丸呑みしてしまったり、吐き出してしまうので舌や顎を使う練習になりません。
また、小さく刻み過ぎたり、薄過ぎたりしても、舌で潰しにくいため食べづらくなります。
やわらかくて、ある程度の大きさや厚さ(5mmほど)が必要です。
また、潰した食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めるので、口の中でバラバラにならないようとろみをつけるのもポイントです。
食事の時は椅子に座らせて、足の裏が床や足置きにぴったりつく姿勢を取らせます。(食育ブログ第4回参照)
液状のものは、スプーンを下唇の上に置いて上唇に食べ物を触れさせて、すする動きを引き出します。
スプーンのくぼみが深いと食べにくいので、必ず浅いものを使いましょう。
また、この時にスプーンを急いで持ち上げてしまうと、上唇の力がつかずに山形にめくれ上がり、お口ポカンへとつながってしまうので注意が必要です。
この時期の赤ちゃんは指先よりも舌で判別するので、色々なものを口に入れて舐めて、
などを遊びながら学んでいるそうです。
歯肉への刺激や唾液分泌、何より赤ちゃんは口に入れる事で勉強しています。
感染や誤飲には十分に気をつけて、口に入れる時期を見守るようにしましょう。
必要な時期にしっかりお口センサーと手を使って口に運ぶ動作をしていた子は、指先の使い方が上手くなり掴み食べへ繋がります。
3児の母が自分自身の経験を通じて、衛生士さんが家族や患者さんに伝えられる食育の知識をお届けします。
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