グローバルに生きる!留学中の歯科衛生士が教えてくれるカナダの歯科事情と海外生活・外から見た日本のこと。
カナダ留学中の歯科衛生士、西川百合子です!
”外側から日本をみる” という私の小さな体験が何かのヒントにつながればいいなと思いながら、様々な視点で書いていこうと思っています。
日本は今もう春を通り越して、夏みたいに暑いというのを聞いたのですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?コロナのワクチンもなかなか進まず、不安が続く毎日ですよね。
私がいるカナダでは、先日、医療従事者や高齢者の方以外の私たち留学生にもワクチンを接種する機会が設けられました。
ただ、私は色々と考えた結果、今回の接種は見送りました。
ルームメイトはワクチンを受け、少し体調を崩していましたが、今は元気です。(個人差はあると思います)
個人的には、もう少し安全に接種できるようになるといいなと思っています。
さて!今回のブログはカナダの歯科事情についてお伝えする予定だったのですが、少し内容を変更してお伝えしたいと思います。カナダの歯科事情についてはまた別の回でお伝えしていきますね。
今回は歯科医療従事者として英語は必要?という内容でお伝えしていきたいと思います。
まず、なぜ歯科衛生士という仕事を辞めて、留学をしているのか疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
そのため、今回はまず、私が英語を本格的に学ぶきっかけになった出来事について少しお話ししたいと思います。
私は2018年に(株)クロスフィールドさん主催の北欧研修に参加しました。
歯科予防先進国のスウェーデンとフィンランドの歯科医院の見学や大学での最先端の歯科衛生士教育などのお話を聞くことができる、とても学びの多い充実した研修になりました。
ただ、その研修の中でひしひしと感じていたのは、『英語が話せたらもっとたくさんの方と話せるのに…』という気持ちでした。
元々、この研修に参加する前から英語は学んでいたのですが、やはり上手にコミュニケーションが取れるまでには到達しておらず、悔しい悲しい思いをしたのを今でも覚えています。
もちろん通訳の方はいらっしゃいましたが、“直接自分の言葉で伝える” ということが私にとってはとても大切だったんです。
そしてその半年後、2度目のスウェーデン研修としてヨーテボリ大学で1週間の研修を経験したのですが、また思うように話せず自分に落ち込み、もうこれは行くしかない!と留学を決意しました。
実際、日本の歯科衛生士の社会的地位は海外の歯科衛生士に比べて低いのが現状です。
しかし、研修を経験して感じたのは、個人的には仕事内容や患者さんに向き合う姿勢は日本の歯科衛生士も決して負けていないと感じました。
ただそれは語学を除いてです。
日本の歯科衛生士がどんなに丁寧に仕事や患者さんに向き合っていても、いざというとき、海を超えた場所で同じ課題に向き合っている仲間と情報交換ができるチャンスが訪れたとき、語学という壁があることでコミュニケーションが取れないことが、私にとってはすごく残念だったんです。
でも、その出来事とその時の悔しい思いが、間違いなく私が今カナダにいるきっかけになりました。
まさか自分が海外に留学しようと思うなんて考えても見ませんでしたが、今ではこれが自分の一部になっていることを思うと人生って不思議だなと思いながら、日々楽しんでいます。
この経験談を前置きとして、歯科医療従事者に英語は必要?ということに迫っていきたいと思います!
最近では、日本在住の海外の方をお見かけする機会が増えてきたように感じるのですが、皆さんはどうでしょうか?
実際に過去10年の間に日本に住む外国の方の割合は年々増えていますし、今後10年でさらに54万人の外国の方を受け入れる準備を政府は進めています。
実際に皆さんの歯科医院にも海外の方が来院されるケースが増えているのではないでしょうか?
もちろん地域によって差はあると思いますが、今後増えてくるのはほぼ確実だと思います。
日本は島国で海に囲まれているため、良くも悪くも独立しています。
そのため、当たり前ですが日本には他国との国境が存在しません。
日本で育ち、日本で生活をして、これからも日本で生きていく私たち日本人にとって、”日本語だけを話す” ということは特になんの問題もなく、疑問に思うことも少ないと思います。
きっと国境を超えて入国してくる難民や国境付近での紛争など想像もできないと思います。
そのような環境にない日本で生きている日本人にとっては、日本以外の国のことを考える機会が他国に比べ圧倒的に少ないのが現状としてあります。
でももし私たち日本人にこのような環境が隣り合わせだったら、どうだったでしょうか、、と私は常々感じています。
その中でグローバル化が進み、日本もようやく外国の方を受け入れることを進めていますが、私たちの意識的な準備はまだまだ発展途上だと思っています。
英語を学ぶことは彼らにとって生きやすい社会を作る一歩になると感じています。
日本にいる外国人の中で、日本語が十分に話せる外国人は意外と少ないのです。
もちろん、日本語を話せることが彼らにとっての課題ではあると思いますが、もっと助け合っていける社会が必要だと思います。
その中で、日本語が話せない外国の方が歯科医院に来院されたとき、どう対応するかというのは、私たち歯科医療従事者の今後の大きな課題だと思います。
一番困った場所は、病院がNo.1
実際に、在日外国人のアンケートで、日本で一番困った状況はなんですか?という問いに対して、
1位は病院での対応
と回答しています。外国人にとって、市役所などの手続きもとても困難ですが、群を抜いて病院での対応が一番苦戦しているということです。
病院でそうなら、おそらく..いや歯科医院は確実に対応不足になり得てしまいます。
皆さんもご存知の通り、病院や歯科医院に来られる場合のほとんどが”痛み”であることが多いので、しっかりと聞き取り、対応していく必要があると思います。
もちろん日本人の患者さんでもそうですが、彼らは痛みや不安を抱えて来院しています。
“早く痛みをとってほしい、原因が知りたい、でも痛いのは嫌だし怖い。”そういった不安な気持ちに寄り添うのも私たち医療従事者に求められる重要な能力です。
でもそれに言葉の壁がある場合、その不安や心配はとても大きいものになっていることが想像できますよね。
私たちにとってその思いに寄り添うことは使命であり、それこそがまず最初にしなければならないことです。
その中で、私たちが少しでも言語の壁を取り除く準備を進めることはとても重要で価値のあることだと私は感じます。
皆さんはSDGsをご存知でしょうか。
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
… SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組もうとしています。
『誰一人取り残さない』これは、現在、そして今後の歯科医療における言語の壁にも当てはまることだと思います。
日本の社会の中で生きてきる人たちに対して言語の隔たりなく平等に対応することは、今後の歯科医療の課題の一つになるのではないかと思っています。
最後に歯科に関わる英語をほんの少しだけ紹介したいと思います!
いきなり文を話すのは難しくても、単語が理解できれば最低限のコミュニケーションは取れると思うので、まずは簡単な単語から覚えてみるのもいいかもしれません。
もし外国の方の症状がわからない機会に遭遇したら、参考にしてみてください!🙂
『誰一人取り残さない』歯科医療を実現するために、少しずつみんなで準備を整えていきましょう!!
ではまた次回のブログでお会いしましょう。
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