第2回 歯科衛生士と食育

マイナス1歳からの予防歯科〜お腹の赤ちゃんの為にできること〜

星崎雅恵 星崎雅恵

# コラム

 

食育をテーマにブログを担当する星崎雅恵です。
自分自身の経験を通じて、衛生士さんが家族や患者さんに伝えられる事を書いていきたいと思っています。

 

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今回は、マイナス1歳(妊娠中)からできる予防歯科について書きます。

私は3児の母ですが、長男の時は知識がなく実践できなかった事もあったので、とても残念に思っています。

知っているのと知らないのでは、全然違う!
その時期にしかできないこと、知っておいてもらいたい!!
母子手帳を持って歯科医院に検診へ来られる妊婦さんや妊娠の可能性のある年齢の女性、お子さんを連れて来られるお母さんに次の妊娠時に知っておいてもらいたい!!

メインテナンスなどに来られた時に私たちからぜひ、伝えていきましょう。

 

歯に必要な栄養素

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妊娠中は体重管理を気にしてダイエットを意識する妊婦さんも多く、間違った炭水化物ダイエットをされる方も少なくありません。

バランス良く食べ、適度の運動を行い、妊婦さんが健康であることが大切です!!

歯にはカルシウム!と意識されがちですが、他にもかかせない栄養素があります。

 

【歯に必要な栄養素】

歯の基礎をつくるタンパク質あじ、卵、牛乳、豆腐
歯の石灰化を助けるカルシウム
リン
ひじき、チーズ、しらすぼし
米、牛肉、豚肉、卵
エナメル質をつくるビタミンA豚、レバー、ほうれん草、にんじん
象牙質をつくるビタミンCほうれん草、みかん、さつまいも
カルシウムの代謝や石灰化に影響ビタミンD 卵黄、牛乳、バター

タンパク質ビタミンA・C・Dの栄養素を含む食品をバランス良くとることが大切です。

 

歯の成長と発育

乳歯の芽となる歯胚は、妊娠約7週頃から形成され始めます。
この時はまだ細胞の集まりですが、妊娠4ヶ月頃からカルシウム分の沈着が起こり始め、次第に「硬い歯」になっていきます。

 

食育2-5

 

歯の成長と発育には、他の器官と比べて妊娠初期という早い時期にスタートし、比較的短い期間で完成します。

歯にはほとんど新陳代謝がないので、あとからいくら必要な栄養素を補っても歯は取り入れてくれません

妊娠中から生後にかけて、歯は成長していきます。
したがって、妊娠中のお母さんの口腔内環境と食生活が、子供の発育や歯にも大きな影響を与えることになります。

なので、妊娠中や産後に積極的に摂ってほしいものが・・・!

 

妊娠中や産後に積極的に摂ってほしいキシリトール

 

それがキシリトール!

 

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妊娠中や産後にキシリトールを摂取しているとミュータンス菌の母子感染が減ります。

日本では、岡山大学で、「母親が妊婦の頃からミュータンス菌を減らすための対策を行い、子供のむし歯を減らす」という目的のもと、産婦人科と連携して妊婦さんにまずは自分の口腔内のミュータンス菌の数を減らすためにキシリトールを摂取してもらいました。

実験結果からキシリトール活用によって母親のミュータンス菌の数を大幅に減らすことができまました

そこで、妊娠6ヶ月〜9ヶ月まで積極的にキシリトールガムを摂取した母親から生まれた子供と、そうでない子供のミュータンス菌を比べてみた結果・・・

 

  • 1歳時は、約1/5倍
  • 1歳6ヶ月時では、約1/2倍

積極的に摂取していた母親から生まれた子供の方が少なかったことが分かりました!!

また、産後すぐでも効果があります
フィンランドでは産後3ヶ月から2年、1日2〜3回キシリトールガムを噛むことにより、2歳児時点での母子感染率の低下に効果をあげています。

 

 

自分自身の体験では、妊娠中(特に初期)は唾液が粘性になり、唾液が美味しくない!と感じることが多かったです。
その時は、よくキシリトールガムを摂取していました。

歯科専売の100%キシリトールガムは味があまり長持ちせず、数を多く摂取していましたが、顎関節が痛くなり、途中でタブレットと併用をするようになりました。

元から顎関節症の方や食いしばりの癖のある方には、タブレットをお勧めされる方がいいと思います。

この話を親子広場などでさせていただくとまだまだ知らないママがたくさんいます。

 

ママがう蝕になると赤ちゃんもう蝕になるリスクが高まります

 

まずは、口腔内の環境をよくすることが大事ですが、プラス手軽にできるう蝕予防!
赤ちゃんがお腹にいる“マイナス1歳”からしっかりとケアする必要があることを伝えていきましょう。

 

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